モクレン(木蓮・マグノリア)の特徴と魅力
モクレン(木蓮・マグノリア)はよく使われる庭木の一種です。大きめの綺麗な花が咲くためシンボルツリーとして用いられることもあります。
中国南西部(雲南省、四川省)が原産地ですが、日本やアメリカ、ヨーロッパなど世界中の広い地域で親しまれている木です。英語ではマグノリアと呼びます。
モクレンは成長しきっても高さが3~5mほどとそれほど高くないので、刈り込みもそこまで大変ではありません。
また、花くていい甘い香りがします。葉っぱ秋になれば紅葉して黄色になり、1年を通して様々な姿を楽しむことのできる木です。
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | モクレン |
漢字 | 木蓮、木蘭 |
その他の呼び名 | マグノリア、シモクレン、ハネズ、モクレンゲ |
樹木の種類 | 常緑広葉樹 |
高さ種別 | 中高木 |
自然木の高さ | 約3~5m |
成長速度 | 早い |
花の色 | 紫色(品種によっては白、ピンク、黄) |
花の咲く時期 | 3~5月 |
葉の大きさ | 8~10cm |
葉の色 | 緑色 |
実の色 | 赤色 |
実の付く時期 | 9~10月 |
食用 | △(薬用) |
土壌・気候 | 日当たり水はけがよい場所を好む |
病気の耐性 | 〇 強い |
主な害虫 | カイガラムシ、アブラムシ、テッポウムシ |
国内の生息地 | 日本全国(北海道北部を除く) |
寒冷地 | 〇 |
雲南省、四川省はどこ?気候は?
雲南省と四川省は中国の西にある地域です。山が多く冬は寒く、夏は暑く、日本と似た気候をしています。
雲南省
雲南省 昆明の気温
四川省
四川省 成都
庭木としてのモクレン(木蓮・マグノリア)
モクレンは成長も早く、寒さや暑さにも強く、日陰でも育ちます。病気や害虫にも比較的強いため、一度根付いてしまえば水やりなども不要などとても育てやすい品種です。
葉が覆い茂り、大きく綺麗な花が咲くのでシンボルツリーとしてもよく使われます。
落葉広葉樹なので、秋ごろになると葉っぱの色が黄色に紅葉するなど、1年を通して季節感を楽しむことができます。
モクレン(木蓮・マグノリア)のメリット
モクレン(木蓮・マグノリア)の手入れ
植える場所と時期
日当たりがよく風通しのいい場所を好みます。耐寒性があり寒さにも強いです。
横方向によく伸びる木なので、植えるときは3mほどのスペースが必要です。成長しきっても高さは3~5mほどなので、上方向のスペースはあまり気にする必要はありません。
植え付けは成長が遅く、根を傷つけるリスクが低い1~3月頃に行います。
一度、根が張ってしまった後は、移動が難しかったり、移動の際に根が傷ついて枯れてしまうことがあるため、基本的に根付いた後移動はしない方がいいです。
根が強く張るため、鉢植えで育てる場合は、土から浮かすなどして、根が土に張らないようにする必要があります。
2~3年に1度は鉢を交換して根づまりしないようにしてあげます。
水やり
庭植えの場合、植えたばかりで根付く前の間は水やりが必要です。1か月ほどし根づいてからは特に水やりの必要はありません。
夏など日照りが続いた場合に水をやる程度で問題ありません。
鉢植えの場合は乾いたら水をやるようにします。
剪定
モクレンは剪定があまり必要ない木です。枝や葉が込み合っていて、風通しがや日当たりが悪い場合や形を整える場合に剪定を行います。
剪定は葉が落ちた11~2月頃が適しています。
なお、モクレンを狭いスペースに植えた場合は、横方向へと伸びていくので剪定の手間がかかります。
モクレン(木蓮・マグノリア)の病気や害虫
アブラムシ
モクレンは病気や害虫はほとんど発生しない強い木ですが、時にはアブラムシやカイガラムシが発生することもあります。
アブラムシは葉の裏や茎などにつく小さな虫です。色は緑、赤、青、黒など様々です。
とても繁殖力が高く放置するとどんどん増えていきます。
被害としては、アブラムシが植物の汁を吸ったり、葉を覆うことにより光が届かず栄養が行き渡らなくなってしまうことと、アブラムシを介してウイルスが入ってしまうことです。
アブラムシを見つけた場合は早いうちに駆除する必要があります。
安全性では、ニームオイルという、インド原産の木の種(イントセンダン)から採れるオイルを使った完全オーガニックの除去剤がおすすめです。
殺虫剤はベニカXファインスプレーが即効性があり、持続期間も1ヶ月と長くおすすめです。
カイガラムシ
カイガラムシという1~10mmほどの小さな貝のような虫がつくことがあります。色は白いものが多く見られますが、茶色など様々な種類がいます。
カイガラムシは葉っぱにくっつきそこから養分を吸い取ります。養分を吸い取られた葉っぱは徐々に枯れて行ってしまうため、カイガラムシを見つけたら除去する必要があります。
カイガラムシは名前が貝とつくだけあって、殻やロウ状の物質で覆われているため薬剤が浸透しにくく、一般的に使われる虫よけの殺虫剤が効きません。
駆除するときは、園芸用のスコップなど先の尖ったものでピッとはじくようにして取り除きます。
触るも嫌、、という人やあまりにも数が多い場合はカイガラムシエアゾールというカイガラムシ専用のスプレーがあります。ジェット噴射なので高い場所を狙って塗布することも簡単です。
殺虫効果も1か月間持続するので、駆除したあとにまた再発することを防げます。夏期だけでなく冬期の越冬成虫にも効果があります。価格も800円程度と比較的お手頃です。
テッポウムシ
カミキリムシの幼虫であるテッポウムシが根っこ部分を食べてしまうこともあります。
木が鉄砲の玉で貫通したように木を食べて穴をあけるため、テッポウムシと呼ばれています。1~2年に渡って木の中を食べてしまい、その結果、木が枯れて死んでしまう被害が出ます。弱った木は台風などの強風に煽られてポッと折れてしまうこともあります。
大量発生することはほとんどありませんので、見つけ次第の駆除でも対応可能です。心配な場合は薬剤を注入しておくと安心です。
テッポウムシの殺虫から、その後の根本をしっかりと保護して再発を防ぐには、キンチョールE、カルスメイト、グリプロで対策をしておけば安心です。
多少値段と手間がかかりますが、木が腐って折れてしまったりするよりは、精神的負担も少なくなります。
モクレン(木蓮・マグノリア)の価格・相場
モクレンの価格や相場は、その大きさにより大きく変化します。数十cmほどの苗であれば5,000円~1万円ほど、そして1mを越せば1万4000円~2万円、2mを越すと2万円~3万円あたりが相場になります。
苗木
価格・相場5,000円~1万円程度です。
1m~2m
価格・相場は5,000円~1万5000円程度です。
2m~3m
価格・相場は1万5000円~3万円程度です。
モクレン(木蓮・マグノリア)の注意点
モクレンの親戚にハクモクレンという木があります。この木はハク(白)と名のつくだけあり、白い花が咲きます。
ただし、大きな違いは花の色だけではなく木の高さもです。モクレンは中高木のため成長しきっても3~5m程度ですが、ハクモクレンは高さが15mほどになる高木です。
ハクモクレンも市場によく出回っている品種ですが、花の色が白いだけの違いではないという点によく注意して購入を検討してください。
モクレン(木蓮・マグノリア)のデメリット
モクレンは病気や害虫にも強く、水やりや剪定をほとんど必要としない育てやすい木です。
デメリットを挙げるとすればメリットの裏返しになります。
モクレン(木蓮)の分類(専門データ)
項目 | 内容 |
---|---|
和名 | モクレン(木蓮) |
界 | 植物界 |
門 | 被子植物門 |
綱 | 双子葉植物綱 |
目 | モクレン目 |
科 | モクレン科 |
亜族 | モクレン属 |
種 | モクレン |
学名 | Magnolia quinquepeta (Buc’hoz) Dandy Magnolia liliiflora Desr. |
英名 | Mulan magnolia Tulip magnolia Lily magnolia |