化成肥料とは何か?メリット・デメリットや肥料をあげる適切な時期や回数、無機質や有機肥料との違い

花・植物

ホームセンターの園芸コーナーにいくと、これでもかというほどの肥料が山積みになり、効果を訴える彩られた様々なパッケージが陳列棚に並んでいます。値段も様々です。

「こんなに種類があったら何を選んでいいのかわからない」と途方に暮れてしまう方も少なくありません。

ここでは、肥料選びを簡単にする基礎知識を、化成肥料とは何か?有機肥料とは何か?その違は何か?などの観点でまとめています。


肥料の種類

まずはじめに知っておくべきこととして、肥料は作り方や性質などで大きく2つの種類に分けることができます。それは「化成肥料」と「有機肥料」です。

肥料の大分類は2種類
  1. 化成肥料
  2. 有機肥料

簡単にいうと「化成肥料」は科学的に作られた肥料で、「有機肥料」は動植物由来の天然成分で作られた肥料です。


化成肥料

化成肥料とは何か?

専門書などの説明を読むと、化成肥料(かせいひりょう)とは、無機質多く含む肥料のことですと当たり前のように書いてあります。

ここが曲者で、初めて調べている方々は「無機質って何?」というクエスチョンマークが頭に浮かびます。この状態で説明が更に深く深く進んでいくので、結局よくわからなくなってしまいます。


無機質とは何か?

無機質(むきしつ)とは、人や動物などの体を構成する要素のうち炭素(C)を含まないものの総称です。

なんとなく難しいように感じますが、私たちが普段からよく耳にする「窒素」や、なじみの深い栄養素「ミネラル」も無機質の一種です。

主な無機質(ミネラル)
  • カルシウム
  • カリウム
  • マグネシウム
  • ナトリウム
  • リン酸
  • 亜鉛
  • マンガン
  • ヨウ素

人の体内で生成することができず、食べることで取り入れる必要がある栄養素です。


化成肥料の原料

化成肥料に使われる主な原料は次の3つです。

化成肥料の原料
  • 窒素
  • リン酸
  • カリウム

「窒素」「リン酸」「カリウム」はそれぞれ無機質です。

この3つの原料の割合が30%未満の肥料を「普通化成肥料」、30%以上の肥料を「高度化成肥料」と呼びます。

補足

化成肥料には炭素を含む有機物が全く含まれていないわけではありません。「窒素」「リン酸」「カリウム」を一定の割合で意図的に混入して作っているものが化成肥料です。



化成肥料のメリット

化成肥料のメリットには次のようなものがあります。

化成肥料のメリット
  • 即効性がある。
  • 栄養分を調整しやすい。
  • 臭いがない。

即効性がある

化成肥料の最大のメリットは、有機肥料と比較して、即効性があることです。

土に撒いた化成肥料は、水に溶け、根から直接吸収されます。このため、栄養をあげてから比較的早く効果を実感することができます。


一方、有機肥料の場合は、土に撒いた後、水に溶けます。ここまでは化成肥料と同じです。

ところが、そのまま植物の根っこに直接吸収されるわけではなく、土の中の微生物が分解します。微生物が分解したものを、植物が根から吸収するという流れになります。

化成肥料の吸収プロセスに加えて、工程が一つ増えるため即効性はありません。

注意点

有機肥料は効きが遅いから、化成肥料さえあげていればいいというわけではありません。有機肥料をあげる目的は異なります。

有機肥料をあげる目的は土の中に空気が入る隙間をつくることです。

土の中の微生物が有機肥料を分解すると、微生物の動きが活発になり、土の中に空気が生まれます。植物にとって空気は成長に欠かせないものです。

つまり、有機肥料によって、微生物が活発に活動し、土の中に空気ができると、植物はより成長しやすくなるということです。


栄養分を調整しやすい

化成肥料は有機肥料と異なり、植物に与える栄養分の量を調整しやすいというメリットがあります。

化成肥料は土の中の微生物に分解されにくく、水に溶ける性質を持つためです。


一方、有機肥料は土の中の微生物に分解されてから、植物の根に吸収されるため、栄養分の量を調整することは難しいです。


臭いがない

化成肥料の主成分である窒素、リン酸、カリウムには臭いがありません。パラパラした物体があるだけです。

混ぜてある有機肥料や土によっては臭いがあるかもしれませんが、ほとんど臭いが気にならないのが化成肥料の特徴です。


一方、有機肥料は、鳥の糞(鶏糞)や魚の粉などを使っているので、臭いがでることがあります。臭いの強さは、発酵の度合いや肥料によっても異なります。


化成肥料の成分(NPK)

化成肥料には必ず、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の3つが含まれています。

そして、市販されている化成肥料にそれぞれの含有割合がNPKの順に記載されています。


NPKの割合

例えば、以下の化成肥料は「14-14-14」と記載があります。これは、窒素14%, リン酸14%, カリウム14%の割合の肥料ということです。(NPKだけで42%)

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窒素、リン酸、カリウムのNPKはそれぞれ効果を及ぼす対象が異なります。

窒素の役割

窒素の役割は、「葉っぱ」や「茎」を育てる成分です。

例えば、以下の葉物野菜専用肥料は「10・2 ・7」となっており、窒素が10%と最も多く、リン酸2%、カリウム7%となっています。


リン酸の役割

リン酸は「花」や「実」を育てる成分です。

例えば以下の「花の肥料」は「5・9・5」の割合でリン酸9%が窒素とカリウムが5%となっており、リン酸が多く含まれています。


中には「6・20・6」といったようにリン酸が窒素やカリウムの3倍入っていて、花を咲かせることを目的とした化成肥料も出ています。



カリウム

カリウムは「根っこ」を育てる成分です。

全ての植物には根があるので、どの肥料にもある程度の割合で含まれています。


注意点!肥料の割合や量が多ければいいわけではない

窒素、リン酸、カリウムのNPKはそれぞれ多ければ多いほどいいというわけではありません。ここは、多くの方が勘違いしてしまうポイントです。

例えば、キャベツや白菜などの葉物野菜には「窒素(N)」が多く含まれた化成肥料が効果的です。

そうではなく、花や実をつける植物を育てる場合は「リン酸(P)」が多く含まれた化成肥料が効果的です。


成文の割合に困った時の対処法

窒素、リン酸、カリウムの割合でどれを選べばいいか迷ったときは、同じ割合が含まれた万能型の肥料が売られています。

例えば以下のものは「8-8-8」という記載があるように、窒素、リン酸、カリウムが8%、8%、8%の割合で入っています。



同じ割合になる場合8%のものをよく見かけますが、10%や14%で統一された肥料もあります。


化成肥料の持続時間

化成肥料は1度あげればそれでいいわけではありません。

1ヶ月もすると水に溶けきってしまいます。このため、一般的な化成肥料の持続時間は1ヶ月程度です。

1ヶ月毎に化成堆肥をあげる必要があります。

「1ヶ月毎だと手間がめんどくさい、、」という方のために、肥料を特殊被膜でコーティングして水にジワジワ溶けるようにした肥料もあります。

例えば、花一番という化成肥料は3~4か月の持続効果があります。成分はバランスのいい「12・12・12」です。

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即効性を重視する化成肥料

植物の状態によっては、現時点で元気がなく肥料がすぐに植物に届いて欲しい!という場合もあります。

そういったときは、液体の化成肥料を使うことがおすすめです。

ハイポネクスジャパン(HYPONeX)は液体で薄めてあげるタイプの化成肥料です。持続時間は7~10日と短いですが、その分効きが早いというメリットがあります。

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庭植え植物(花木・庭木・果樹・芝生)・草花・野菜・バラ・キク・観葉植物・鉢花・洋ラン・球根・ハーブ・サボテン・東洋ラン・カンノンチク・山野草・盆栽・幼苗などほとんどなんでも使える万能な化成肥料です。

成分割合は「6・10・5」で花や葉っぱに効きやすくなっています。


有機肥料が入った化成肥料

ここまで、化成肥料に特化した解説をしてきましたが、中には、有機肥料の中に化成肥料が入った肥料もあります。

「混合肥料」や「有機化成肥料」と呼びます。

有機肥料をあげるタイミングや、化成肥料をあげるタイミングや量を考えるのがめんどくさいという悩みを解決した素晴らしい肥料です。

例えば、「花ごころ」というメーカーの「有機化成肥料」はお値段もお手頃でよく使われている肥料です。




肥料をあげるベストなタイミングはいつ?(樹木)

化成肥料の効果が1ヶ月で切れるから、毎月肥料をあげるのは大変なことでもあります。

樹木に限っての話になりますが、植物が最も肥料を必要とする時期にだけ肥料をあげる方法もあります。これをやるかやらないかで、樹木にとっては大きな違いとなります。

肥料をあげるタイミングは、4月と6月下旬頃の2回です。

4月頃になると気候が温かくなり、植物は葉を伸ばし成長しようと活動し始めます。そのときに根っこから栄養素を必要とします。

植物は1年中栄養素を必要としているわけではありません。8月頃になるとその年に必要な分の根や葉が育ちきります。このため、8月以降に化成肥料をあげてもあまり効果がありません

樹木のこういった性質を考慮すると、化成肥料をあげる適切なタイミングは4月と6月下旬頃の2回となります。




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