庭木としての「ヤマボウシ」特徴と魅力とは?育て方や成長後の大きさ、虫の湧きやすさ、価格・相場はいくら?

ヤマボウシの木 庭木

ヤマボウシの特徴と魅力

ヤマボウシは手裏剣のような4枚の白い花びらが咲く木です。寒さにも比較的強く、本州の中では比較的どこでも見かけることができます。

品種によって落葉と常緑があります。常緑も冬には葉が少しは落ちるのですが、すべては落ちません。

赤い実は食べることができ、マンゴーのような甘さがあります。熟したものは皮も食べることができます。

項目内容
名前ヤマボウシ
漢字山法師、山帽子
その他の呼び名ヤマグワ、ヤマボウ、コウサ
樹木の種類落葉広葉樹、常用広葉樹
一般的な高さ5~10m
成長速度早い (1年で30~40cm)
花の色
花の咲く時期6~7月
葉の大きさ4~12cm
実の色
実の付く時期9~10月
食用〇 実と皮が食べられる。甘くておいしい。
土壌・気候水はけがよいが、常に水が存在する場所を好む。乾燥に弱い
病気の耐性〇 比較的強い
主な害虫アブラムシ、カイガラムシ、テッポウムシ
国内の生息地本州から九州
寒冷地

庭木としてのヤマボウシ

夏前頃になると白い花が咲き誇りとても綺麗です。

ヤマボウシの木

鉢に入って売られているもの大きさはそこまで大きくならないため、玄関の門の手前などに植えることができます。

ヤマボウシの木

ただし、本来は5~10mとかなり大きく育つ木なので、植える状態によっては場所の選定が重要です。ある程度の広さが必要です。

ヤマボウシの花

また、葉は外へ外へと広がるため、剪定をしないと覆いかぶさるように広がってしまいます。

ヤマボウシの木
ヤマボウシの木

公園などに植えられているものではとても大きく育ったものもあります。

ヤマボウシの木

花が咲いていない緑の状態は、比較的スッキリしてはいますが、葉は多い方です。ある程度広い場所で目隠しとして使うこともできます。

ヤマボウシの木
ヤマボウシの木

ヤマボウシの手入れ

植える場所と時期

通気性や透水性がよく、日がよく当たるやや乾燥した場所を好みます。ただし、乾燥のしすぎはよくないので、西日の当たらないところが適しています。

庭植え(地植え)と鉢の植え替えタイミングは12月~3月の寒い時期が適しています。また、冬のタイミングで有機質肥料と化成肥料を与えることで、根の傷みを避けやすくなります。

鉢植えの場合は、2~3年に1回は植え替えを行ってください。

水やり

ヤマボウシは乾いた土地を好みます。あまり水分量が多すぎると根が枯れてしまうので、水の上げすぎには注意が必要です。

庭植え(地植え)の場合は特に水やりは必要ありません。鉢植えの場合は乾いてきたら水をあげます。水やりは朝のうちに行ってください。

剪定

剪定は11月~2月ごろに行ってください。花が咲いていたり、実が成っている時期の選定は基本的には適していません。

葉が多い茂り、通気性や日当たりが悪い場合は、夏でもこまめに剪定を行い、日当たりや風通しを確保するようにしてください。

ヤマボウシの病気や害虫

うどんこ病

ヤマボウシは比較的病気に強く、害虫のつきにくい木ではありますが、風通しが悪いと白い粉をふりかけたようになる「うどんこ病」にかかる可能性があります。

うどんこ病にかかった葉っぱの例(白い粉)
wikipedia

うどんこ病とは、土や落ち葉に潜む「糸状菌」と呼ばれるカビが原因で発生します。1箇所で発生すると、風などに乗って周りに広がります。

ジメジメしてやや暖かい梅雨の時期に発生することが多いです。

うどんこ病はどんどんと葉っぱを覆っていきます。葉っぱが覆われると太陽の光を吸収しずらくなり、成長が遅くなり、やがて栄養が生成できず黄色くなり枯れてしまいます。

うどんこ病が発生したら、周りに広がらないように葉っぱを切り取ります。切り取った葉はそこら辺に捨てずに、燃やすなどして完全に処分してください。

軽症の場合は、酢を薄めたり(20倍で希釈)、重曹を薄めたもの(重曹:水が1:1000の割合程度)をスプレーで吹きかければ改善することがあります。

化学薬品を使わずにうどんこ病の原因菌を退治してくれるカダンセーフもおすすめです。


肥料にもなり、うどんこ病対策ができる完全オーガニックの製品もあります。


気になる場合や、症状が進行している場合は薬剤を使うとより確実です。希釈してありすぐに使えるスプレーのものや、原液を薄めて使う徳用のものがあります。



うどんこ病の発生を防止するためにも、日当たり、風通しを確保し、水が溜まりすぎないようにすることが大切です。

テッポウムシ

害虫被害はほとんどありませんが、カミキリムシの幼虫であるテッポウムシが根っこ部分を食べてしまうこともあります。

テッポウムシ(、カミキリムシの幼虫)

木が鉄砲の玉で貫通したように木を食べて穴をあけるため、テッポウムシと呼ばれています。1~2年に渡って木の中を食べてしまい、その結果、木が枯れて死んでしまう被害が出ます。弱った木は台風などの強風に煽られてポッと折れてしまうこともあります。

大量発生することはほとんどありませんので、見つけ次第の駆除でも対応可能です。心配な場合は薬剤を注入しておくと安心です。

テッポウムシの殺虫から、その後の根本をしっかりと保護して再発を防ぐには、キンチョールE、カルスメイト、グリプロで対策をしておけば安心です。

多少値段と手間がかかりますが、木が腐って折れてしまったりするよりは、精神的負担も少なくなります。


アブラムシ

ヤマボウシには害虫であるアブラムシが発生することもあります。アブラムシは葉の裏や茎などにつく小さな虫です。色は緑、赤、青、黒など様々です。

とても繁殖力が高く放置するとどんどん増えていきます。

植物につく害虫 葉っぱに群がるアブラムシ

被害としては、アブラムシが植物の汁を吸ったり、葉を覆うことにより光が届かず栄養が行き渡らなくなってしまうことと、アブラムシを介してウイルスが入ってしまうことです。

アブラムシを見つけた場合は早いうちに駆除する必要があります。

安全性では、ニームオイルという、インド原産の木の種(イントセンダン)から採れるオイルを使った完全オーガニックの除去剤がおすすめです。


殺虫剤はベニカXファインスプレーが即効性があり、持続期間も1ヶ月と長くおすすめです。


ヤマボウシの実

ヤマボウシは花が枯れた後、9~10月ごろに赤い実をつけます。甘く皮ごと食べることができる実です。ジャムや果実酒として使われることもあります。

触って柔らかくなっていれば食べごろです。

ヤマボウシの実

庭に食べることのできる木が欲しい場合には、ヤマボウシは一つの選択肢になります。

ヤマボウシの注意点(ハナミズキの実に注意!)

ヤマボウシととても近い種類の木に「ハナミズキ」があります(アメリカヤマボウシとも言います)。

ハナミズキの実は毒性があるため、間違って食べないように注意してください。

ハナミズキの実

実の形は、ヤマボウシと違ってイガイガしておらず、細長い実の詰まった形をしています。ですが、固く実はほとんど入っていません。

特に、ヤマボウシとハナミズキは花の色や花弁が4枚であるといった特徴が似ています。ですが、ハナミズキの方は花の先端が上向きに丸まっていたり、ヤマボウシのように尖っていません。

開花時期も、4~5月と、ヤマボウシ(6~7月)よりも2か月ほど早いです。

ハナミズキの花

ヤマボウシの価格・相場

ヤマボウシの価格や相場は、その大きさにより大きく変化します。数十cmほどの苗であれば5,000円程度から、そして1mを越せば1万5千円ほど、2mを越すと2万円~3万円あたりが相場になります。

苗木

価格・相場は3,000 ~ 7,000円程度です。年間30~40cmほど伸びるので、3年間もあれば簡単に1mを越えてしまいます。



1m~2m

価格・相場は13,000円~18,000円程度です。




2m~3m

価格・相場は18,000~30,000円程度です。近隣の2階からの目隠しとして使いたい場合は、このくらいの高さにしておくのがいいでしょう。



ピンク色のヤマボウシ

ヤマボウシから品種改良して作られた、ピンク色の花を咲かせるベニバナヤマボウシという品種もあります。

ベニバナヤマボウシの木

白い花も綺麗ですが、ピンクと白の混じったベニバナヤマボウシも綺麗な色をしています。

ベニバナヤマボウシの木

ベニバナヤマボウシの価格・相場

ベニバナヤマボウシはあまり出回っていないのが現状です。価格は普通のヤマボウシの+2,000円程度。2.4mで2万2千円といったところです。

どうしてもピンク色の花を咲かせたいという場合は、ハナミズキの方が一般的です。



前述しましたが、ハナミズキはヤマボウシと違い実に毒性があるので、小さいお子さんがいる場合は注意が必要です。

ヤマボウシの分類(専門データ)

項目内容
和名ヤマボウシ
植物界
被子植物門
双子葉植物綱
ミズキ目
ミズキ科
亜族ミズキ属
ヤマボウシ
学名Cornus kousa(コーナス コーサ)
英名Kousa Dogwood
Japanese Flowering Dogwood
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